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魚の栄養と健康

 

カジキ

 

意外なくらい科学的に証明されている、魚と健康の関係

魚をよく食べる人は長生き!?
知ったらきっと得をする、魚の栄養と人の健康の関係についてご紹介します。

本ページに掲載の内容は、調査・取材時点で確認できた範囲です。研究は日々進むため、最新の知見と異なることが掲載されている可能性もあります。


目次


魚を食べることの意義

魚介類や海藻類には、ビタミンやカルシウムなどの人の健康に必要な栄養成分の他、健康増進に役立つ機能成分が豊富に含まれています。日本は世界でトップレベルの長寿国で、それを支えているものの一つが「魚食」の文化であると言っても過言ではありません。

魚の脂質に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)は、血栓を作りにくくしたり脳や視覚の機能向上に関与していることが以前から知られていますが、DHAやEPAなど魚介類が含む機能成分の効能についての研究は益々盛んになり、世界的に注目されています。

しかし、魚の機能性は1つの成分にだけ由来するものではなく、魚に含まれる色々な成分が複合的に作用することで、効果が発揮されていることが多くの研究で明らかにされました。

魚に豊富にある栄養素を単独で摂るだけではなく、魚そのものをはじめとした様々な食材を組み合わせてバランス良く食べることで、魚が持つ栄養素の機能性がより有効に発揮されることが期待されます。和食が高く評価されるのは、海藻や野菜等を魚と組み合わせてバランス良く摂ることができるからでもあるのです。

季節ごとに様々な魚の旬を楽しみつつ、健康にも良い効果が得られるのというのは、和食文化の素晴らしいところ。魚食をぜひ日常の食事に取り入れたいものです。但し、様々な汚染物質が存在するのも確か。同じ種類の魚ばかり食べ続けるのではなく、色々なところでとれた色々な種類の魚を食べるのがよいでしょう。

魚と生活習慣病の関係

日本人一人当たりの魚を食べる量は年々減少し「魚離れ」と「食の欧米化」が進行しています。欧米型の食生活を続けると、高脂質・高コレステロールになりがちになり、さらに摂取する栄養が偏りやすくなります。その結果、がん、心臓病、動脈硬化、脳卒中といった生活習慣病に罹患する人が増えているというデータが出されました。
また、魚をたくさん食べる人ほど心筋梗塞になりにくい、魚を食べると血栓の形成抑制に大きな効果、海藻と魚を組み合わせて食べることが肥満防止につながる可能性(*6)、魚介類の摂取が男性の糖尿病予防に効果あり、といったことなどが様々な研究により指摘されています。

※生活習慣病の予防には、食べ過ぎや運動不足等生活習慣全般の見直しが欠かせません。取り入れたい生活習慣の一つとして、魚を組み合わせた栄養バランスの良い食事をおすすめします。

心筋梗塞

厚生労働省の研究班が、平成1990年から約11年間にわたって岩手県、秋田県、長野県及び沖縄県に住む男女約4万人について、食事も含む生活習慣と虚血性心疾患発症との関連を追跡調査した結果、「魚を週に8回食べる人は、週に1回しか魚を食べない人に比べて、心筋梗塞を発症するリスクが約6割低い」ということが分かりました(*1)。
研究の内容は2006年1月、米医学誌「サーキュレーション」に発表され、魚食は健康面で改めて評価されています。

心筋梗塞は、メタボリックシンドロームによって動脈硬化が進行することで発症する心臓の病気です。 動脈硬化によって心臓の血管に血栓(血液の固まり)ができて血管が詰まり、血流が止まって心臓の筋肉(心筋)の細胞が壊われてしまうという、虚血性心疾患の代表的なもの。心臓の血管が一瞬で詰まり、突然死んでしまうこともあります。
虚血性心疾患を防ぐためには、食生活・運動習慣・ストレスなどの生活習慣を見直し、メタボリックシンドロームの予防に努める必要があります。

独立行政法人水産総合研究センターの研究によると、ラットを使った実験で、魚食による血栓形成抑制作用は、魚油の血液凝固抑制作用の他に、魚タンパク質による血栓溶解作用も働いていることを突き止めました。つまり、魚油だけを摂るのではなく、「魚を食べること」が、脳梗塞や心筋梗塞など血栓が原因となる疾病の予防に有効である可能性が示されています。

脳卒中

脳卒中は、脳の動脈硬化が進んで脳の血管が詰まったり破れたりする病気で、日本人の死因で毎年3〜4位の上位を占めています。後遺症が残ることが多く、寝たきりなどの要介護状態となる最大の原因ともなっており、生活の質を保つ上で予防を意識した日頃からの生活習慣が重要です。

脳卒中は以下の3つに分類されます。
・脳の血管が破れる「脳出血」
・脳動脈瘤が破裂する「くも膜下出血」
・脳の血管が詰まる「脳梗塞」

脳卒中は動脈硬化が脳の血管で進行した結果として起こることが多いため、効果的な予防としては、メタボリックシンドロームを改善して動脈硬化の進行を食い止めるということがまずあげられます。
※脳の血管に奇形があるために奇形のない人より脳血管疾患のリスクが高い人もいます。

動脈硬化の予防で最も重要なのは、高血圧を防ぐこと。
高血圧の状態が長く続くと動脈硬化が進行し、やがて脳の血管が詰まり脳梗塞へとつながります。より強い高血圧の場合には脳の血管が破れて脳出血を引き起こしたり、脳の血管の一部に動脈瘤ができて破裂し、くも膜下出血を引き起こしたりもします。

高血圧の他、脂質以上症や糖尿病、心臓病も脳卒中のリスク要因。また、これらの疾病に深く関わる生活習慣としては、大量飲酒、喫煙、運動不足、肥満になるような食生活があげられ、可能な限り避けるのが望ましいと考えられます。

血圧に良い作用をもたらす栄養という点では、魚の脂肪に含まれる成分が、動脈硬化や血栓を防いで血圧を下げるほか、LDLコレステロールを減らすなど、ヒトの身体にとって良い作用いくつも持っているということが研究によってどんどん明らかになってきてきました。さらに、最近の研究では、魚介類をよく食べる人では、脳卒中を含む循環器系の病気での死亡リスクが低くなるということも明らかとなりました。ヨーロッパの動脈硬化学会誌に2014年2月に掲載された厚生労働省研究班の論文(*7)によると、日頃の食事で魚介類由来の脂肪酸(DHAやEPA)が多いほど、その後の循環器疾患(脳卒中や心臓病など)による死亡リスクが低いという研究結果が出たとのこと。例えば、サンマを一尾毎日食べ続けることで脳卒中や心臓病で死亡するリスクが2割減少するそうで、魚食がますます注目されています。

魚の持つ優れた栄養は、様々な食物と組み合わせて食べることで、より効率良く吸収・利用できるということも明らかにされています。様々な食材を使ったバランスの良い食事を、楽しくいただきましょう。

肥満

肥満は男女問わず避けたいもの。
外見を気にする人が多いですが、実は、肥満は色々な病気を引き起こしかねない、不健康な状態。健康面でのリスクが高いのです。肥満は時に「恰幅が良い」などと表現されることもありますが、必要以上に脂肪が蓄積した状態は、健康の観点からは早世リスクの高い状態です。

肥満は、皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満に分けられます。
腸のまわりに脂肪が過剰に蓄積している「内臓脂肪型肥満」、いわゆるリンゴ型の肥満は特に要注意で、内臓脂肪の蓄積を防ぐことが心臓病や脳卒中をはじめとする生活習慣病の予防につながるとされています。

肥満の予防や解消には運動と食生活の改善が欠かせません。
自分に合った適度な運動を継続する他、野菜を豊富に取り入れ魚を組み合わせた栄養バランスの良い食事を心がけることが大切です。

多くの魚は低カロリー&高たんぱく。
それだけでも大きなメリットですが、魚の優れたところはそれだけでなく、魚に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などの多価不飽和脂肪酸、ヒスチジン、タウリンなどの成分には脂肪増加を抑制する作用があるとされており、魚を継続して食べることで太りにくい身体になっていくことが期待されます(*8)。

糖尿病

欧米型の食生活、運動不足・社会的ストレスの増大、生活環境の変化などにより、日本では生活習慣病の患者数が益々増加しています。中でも糖尿病に罹患している人の数は多く、糖尿病が強く疑われている人、可能性が否定できないいわゆる「隠れ糖尿病」は、合わせて2,000万人以上いるとされています(2015年1月時点)。

糖尿病が疑われる人の約4割はほとんど治療を受けたことがありません。糖尿病ははじめのうちは痛みなどの自覚症状がないため、検査で血糖値が高かったり、治療が必要と言われたりしても治療を受けない人や治療を途中で中断してしまう人が多くいると言われています。

しかし、糖尿病を放置するとやがて合併症が出ます。

糖尿病の三大合併症

  • 糖尿病神経障害
    手足のしびれ、けがややけどの痛みに気づかないなど。
    その他、筋肉の萎縮、筋力の低下や胃腸の不調、立ちくらみ、発汗異常など様々な自律神経障害。
  • 糖尿病網膜症
    網膜の血管がダメージを受けて視力が弱まります。失明する場合も。
    白内障になる人も多くいます。
  • 糖尿病腎症
    腎臓の糸球体という部分の毛細血管がダメージを受けて尿が作れなくなり、人工透析が必要になります。
    人工透析は週に2~3回、病院などで何時間もかけて行うため、日常生活に大きく影響します。現在、人工透析になる原因のは位は糖尿病腎症です。

糖尿病は、主に膵臓でインスリンを分泌するβ細胞が破壊されて起こる1型糖尿病と、インスリンの効き目が悪くなったり、インスリン分泌が低下したりすることによって起こる2型糖尿病に分けられます。日本では、主に生活習慣が原因となる2型が圧倒的に多いのが特徴で、生活習慣を改善することで、多くの人は糖尿病に罹患せずに済むとも言えます。

糖尿病を予防するには、
・適度な運動
・栄養バランスの良い食事を、規則正しく、時間をかけて
・良質で適度な時間の睡眠
・ストレスをためない
といった基本的なことがとても大切。
糖尿病が気になる人は、日々の生活を振り返って、少しずつ良い習慣を取り入れてみましょう。

魚の栄養と糖尿病の関係については世界で研究が行われており、魚に含まれるn-3系不飽和脂肪酸がインスリン抵抗性を改善するため、魚の脂質を摂ることで2型糖尿病の発症リスクを低下させられるという結果も出ています(*2)。 まだ研究途上の段階ではあるようですが、魚を含めたバランスの良い食事は、糖尿病の点でもメリットがあると言えそうです。

肝臓がん

肝臓は大人で800〜1,200gと、人間の体内では最も大きなサイズの臓器。
食事で取り込んだ栄養を身体に必要な成分に変換したり、身体にとって有害な物質を無害にする解毒の働きをしたりと、人体にとってとても重要な役割を果たしています。

肝臓には痛覚が無いこともあり、肝臓に問題が生じていても持ち主はなかなか異変を察知できません。そのため、肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれています。自覚症状が出る頃には症状が相当進行している、ということが肝臓の病気の場合にはよくあります。

国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究グループが、男女約9万人を11年間追跡調査し、魚とn-3不飽和脂肪酸摂取量と肝がん発生との関連を調べた結果が、2012年に論文として専門誌に掲載されました(*3)。

研究対象に該当した男女約9万人のうち、11年の追跡期間中に肝がんと診断されたのは、398人。
グループ分けして調べた結果、n-3不飽和脂肪酸を多く含む魚、および、EPA、DPA、DHAといった、魚に多く含まれているn-3不飽和脂肪酸を多くとっているグループほど、肝がんの発生リスクが低いことが分かったと結論付けています。

肝臓がんは、2013年には日本国内のがんによる死因の第5位を占めているがんで(男女計。男性に限ると第4位)(*4)、肝臓自体に発症した「原発性肝がん」と、他の臓器から転移した「転移性肝がん」の2種類に大別されます。

日本では、原発性肝がんのうち肝細胞がんが90%と大部分を占め、その主要な発生要因として肝炎ウイルスの持続感染が指摘(*5)されていますが、上記調査では、肝炎ウイルス陽性者でもn-3不飽和脂肪酸摂取量が多いグループの肝がんリスクは低いという結果となったそうです。

n-3不飽和脂肪酸には抗炎症作用があることが知られています。同調査では、そのためにn-3不飽和脂肪酸が慢性肝炎への抗炎症作用を通して肝がんの発症を抑えているのかもしれないこと、また、n-3不飽和脂肪酸の持つインスリン抵抗性改善作用についても触れて、肥満や糖尿病との関連についても示唆しています。

魚介類に含まれるビタミン

魚介類には、ビタミンやミネラル等、人の健康に必要な栄養成分が豊富に含まれています。
魚介類に含まれるビタミンとして特に代表的な成分とその効果についてご紹介します。

ビタミンA

生理作用
視力保持、皮膚・角膜の保護、抗がん作用
欠乏症
夜盲症、角膜乾燥、網膜機能低下、肌あれ、皮膚疾患、免疫低下
過剰症
急性過剰摂取で皮膚の角化、肝肥大、悪心、嘔吐、頭痛。
慢性過剰摂取で不熱、色素沈着、甲状腺機能低下など。
多く含む魚介類
あんこうのきも、うなぎ、うなぎのきも、魚の肝臓全般、ぎんだら、あなご、ほたるいか、すじこ、わかさぎ、たたみいわし、まぐろなど

脂溶性ビタミンの1つ。化学名は「レチノール」。
食物に含まれるビタミンAは、体の中でそのままビタミンAとして作用するものと、体の中でビタミンAに作り替えられて作用する「プロビタミンA」があります。プロビタミンAとしてよく知られているβーカロテンはビタミンAとしての働きがとても強く、体内でビタミンAとなる物質と、β-カロテンのまま働いて、活性酸素の発生を防いだり、無毒化したり、がんや心臓病、動脈硬化の予防に効能を示す物質とがあります。
皮膚や目の健康に欠かせない栄養素ですが、過剰に摂取すると却って体に悪い影響を及ぼすことがあります。通常の食生活であれば心配はありませんが、サプリメントで大量に摂る時には注意が必要です。

特に積極的に摂取するとよい方
暗くなると見えにくい、暗くなったときにが慣れにくい、風邪をひきやすい、肌がかさつく、授乳期の女性、がん・動脈硬化・心臓病の予防をしたい方など。

※夜盲症:薄暗くなったときに物が見えにくくなる状態。
※悪心:嘔吐に先行するむかつき、吐き気。

ビタミンB12

生理作用
成長促進(たんぱく質・核酸の合成)、貧血予防(造血、赤血球生成)
欠乏症
貧血、特に巨赤芽球性貧血
過剰症
腎機能障害、石灰化障害
多く含む魚介類
しじみ、すじこ、ほっき貝、はまぐり、あさり、いわし、煮干し、あんこうのきも、いわし、かき、たらこ、さんま、にしん など

水溶性ビタミンの1つ。化学名は「コバラミン」。
葉酸とともにヘモグロビンの合成、つまり赤血球を作り出すのに深く関わる栄養素です。
また、神経細胞内のたんぱく質や核酸(遺伝子の主な成分)の合成を助けたり、修復したりします。
ビタミンB12が不足すると血を作る機能が低下するため、赤血球が減ってしまったり、異常に大きな赤血球が作られてしまったりして貧血の原因となり、下半身にしびれを起こしたりもします。
さらに進行すると、運動失調などの神経障害が起こります。
普通の食生活であれば過剰症となることは考えにくいですが、偏った食事を続けたり、サプリメントを摂取する場合などは注意が必要です。

特に積極的に摂取するとよい方
多くの食材に含まれているため欠乏症となることはあまりありませんが、胃を切除した人や胃の粘膜に障害がある人は欠乏症に注意する必要があります。また、動物性の食物のみに存在するため、ベジタリアンの人も要注意です。

ビタミンD

生理作用
歯・骨の形成、筋力維持
欠乏症
くる病、骨軟化症、歯・骨の発育不全、骨粗鬆症
過剰症
腎機能障害、石灰化障害
多く含む魚介類
あんこうのきも、いわし、すじこ、いくら、まぐろ、かわはぎ、鮭、にしん、うなぎ、ひらめ、まぐろ など

脂溶性ビタミンの1つ。化学名は「カルシフェロール」。
成長促進、特に骨や歯にカルシウムの沈着を促すビタミンです。小腸でカルシウムの吸収を促進させたり、腎臓での再吸収を促す働きがあります。
体内でビタミンDが足りなくなると、骨の石灰化が不十分となり、子供であればくる病、大人であれば骨軟化症を引き起こすことがあります。
骨や筋肉の維持に欠かせない栄養素ですが、過剰に摂取すると血中のカルシウム量が増加し、心臓や腎臓などにカルシウムが沈着して腎機能障害や石灰化障害などが起こります。通常の食生活であれば心配はありませんが、サプリメントで大量に摂る時には注意が必要です。

特に積極的に摂取するとよい方
あまり日光に当たらない方、紫外線をカットする化粧品・日焼け止めを常に使っている方、皮膚でのビタミンD産生能力が低下している高齢の方、など。

※くる病:生後1〜3か月の子供に多く見られる病気で、関節の腫れ・痛み・変形、成長の遅れなどが起こります。また、骨や歯がもろくなって、骨折しやすくなったり、歯が変色したりもします。

ビタミンE

生理作用
発がん抑制、アンチエイジング・抗酸化、老化防止、血管強化・血行促進
欠乏症
貧血(赤血球寿命の短縮、酸化的溶血の亢進)、不妊
過剰症
今のところ過剰症と認められているものはありません。
多く含む魚介類
あんこうのきも、すじこ、キャビア、いくら、あゆ、たらこ、いわし、うなぎ、たい、子持ちかれい、はまち、うなぎ、あこうだい、めかじき、えび、するめ、ほたるいか など

脂溶性ビタミンの1つ。化学名は「トコフェロール」。
魚介類全般的に多く含まれています。強い抗酸化作用があり、体の中では細胞膜の構成成分となっている不飽和脂肪酸の酸化を防いだり、動脈硬化を引き起こすLDLコレステロールの酸化を防いだりしています。
血行を良くする働きもあり、頭痛・不眠・手足の冷え・肌の老化防止などに役立つ成分です。
ビタミンAやビタミンCと一緒に摂取すると、相乗効果が期待できます。また、脂質と一緒に摂ることで吸収率を上げられます。
不足すると、細胞膜の機能が低下して老化の原因となります。また、貧血が起こることもあります。

特に積極的に摂取するとよい方
生理不順の方、更年期障害や生活習慣病が気になる方

※酸化的溶血:ビタミンEの不足により、血液中のビタミンE濃度が低下し、細胞膜の脂質が酸化して、未熟児や乳幼児などは赤血球膜の抵抗性が弱まり、溶血性貧血を起こすこと。

魚介類に含まれるミネラル

魚介類には、ビタミンやミネラル等、人の健康に必要な栄養成分が豊富に含まれています。
魚介類に含まれるミネラルとして特に代表的な成分とその効果についてご紹介します。

カルシウム

生理作用
骨や歯を作る・強く丈夫にする、血液凝固、筋肉の収縮、神経の興奮抑制
欠乏症
骨の発達障害、骨粗鬆症、神経過敏
過剰症
泌尿器系結石(尿路結石等)、ミルクアルカリ症候群、他のミネラルの吸収抑制等
多く含む魚介類
煮干し、ししゃも、ちりめんじゃこ、イワシ丸干し、わかさぎ、干しえび、しじみ、しらす干し など

ビタミンDと同時に摂ると、吸収率アップ!
カルシウムは人の体内のミネラルとしては最も多く、大人で体重1〜2%を占めています。
日本人のカルシウム摂取量は不足状態にあり、骨粗鬆症などの欠乏症が問題となっています。また、慢性的にカルシウム不足が続くと、肩こりや腰痛、イライラなどの神経過敏状態になることがあるので、骨ごと食べられる魚や、乳製品・小松菜・水菜などを積極的に食べましょう。
厚生労働省が定めるカルシウムの1日当たりの摂取量上限は、2,300mgです。
普通の食生活であれば過剰症となることは考えにくいですが、偏った食事を続けたり、サプリメントを摂取する場合などは注意が必要です。

特に積極的に摂取するとよい方
成長途上のお子様、閉経後の女性、骨粗鬆症が心配な方

生理作用
赤血球のヘモグロビン構成、酸素の運搬と供給
欠乏症
鉄欠乏性貧血、全身的な酸素不足による諸症状(疲れやすい、だるい、頭痛、動悸、食欲不振など)
過剰症
胃腸障害、急性鉄中毒
多く含む魚介類
カツオ・マグロの赤身や血合い、いわし、ぶり、さば、あじ、あさり など

血合いの多い赤身の魚には、鉄分が多く含まれています。特に血合いの部分には「ヘム鉄」と呼ばれる、吸収されやすい鉄分が含まれているので、鉄分不足かも?と思ったときにおすすめ。
鉄分は吸収されにくいミネラルなので、吸収を助ける働きをするビタミンCの多い食材と組み合わせたり、血行促進につながるビタミンEと組み合わせるなどの工夫をすると、摂取効率を高めることができます。
普通の食生活であれば過剰症となることは考えにくいですが、偏った食事を続けたり、サプリメントを摂取する場合などは注意が必要です。

積極的に摂取するとよい方
成長期のお子様、月経のある女性、妊産婦

亜鉛

生理作用
たんぱく質、核酸の合成促進、酵素の構成
欠乏症
皮膚炎、月経不順、成長障害、味覚障害、感染症へ抵抗力低下
過剰症
頭痛、発熱、嘔吐、倦怠感、脱水症状、腎臓の障害
多く含む魚介類
牡蠣(かき)、ほや、かに缶、たいらがい、はまぐり佃煮、いかなご、たらばがに、毛がに、焼きたらこ、しゃこ

ビタミンCと同時に摂ると、亜鉛の吸収率アップ!
亜鉛は、新陳代謝、たんぱく質や遺伝情報に関与するDNAやRNAの合成、インスリンの合成、免疫反応に関わる酵素の構成成分となります。
亜鉛は体内で様々な点で働くため、不足すると様々な症状が出ます。
普通の食生活であれば過剰症となることは考えにくいですが、偏った食事を続けたり、サプリメントを摂取する場合などは注意が必要です。

積極的に摂取するとよい方
小児、妊婦、高齢の方

セレン

生理作用
抗酸化作用、がんの抑制
欠乏症
心筋障害、下肢の筋肉痛、皮膚の乾燥、フケ増加、脱毛
過剰症
脱毛、しびれ、筋肉のけいれん、嘔吐、下痢、肝硬変
多く含む魚介類
あじ、かつお、かつお節、わかさぎ、ほたて、あんこう肝、たらこ、くろまぐろ、うるめいわし、まがれい、うに

魚介類はセレンを多く含むと言われています。
ビタミンCやビタミンEと同時に摂取するのがおすすめ。
大人でも体内には10mgほどしか存在していませんが、体内で生成された過酸化物質を分解する酵素の重要な成分として、老化防止やがんを抑制する働きが注目されています。
普通の食生活であれば過剰症となることは考えにくいですが、偏った食事を続けたり、サプリメントを摂取する場合などは注意が必要です。

魚介類に含まれる機能成分

魚介類には、人の健康に必要な機能成分が豊富に含まれています。
魚介類に含まれる機能成分として特に代表的な成分とその効果についてご紹介します。

DHA

生理作用
抗血栓、脂質代謝改善、抗動脈硬化、血圧低下、脳視覚機能調節、抗腫瘍・免疫調節、抗炎症 など
欠乏症
欠乏症と定められた症状はまだないようですが、DHAが不足することで、高脂血症や動脈硬化になりやすくなる、内臓脂肪が増えて様々な生活習慣病にかかるやすくなる、認知症発症リスクが高まる、精神的に不安定になりやすくなる、などと言われています。
過剰症
確実な研究報告はまだないようです
多く含む魚介類
まぐろ、さば、ぶり、いわし、さんま、さわら、鮭、ハタハタ、あじ、このしろ など

1989年、イギリスの脳科学者マイケル・クロフォード博士、日本人の子供の知能指数が高い理由の一つは、魚をたくさん食べていることだと発表しました。この発表によってDHAへの注目度が高まり、様々な臨床試験が行われ、その驚きの効果が明らかになりました。今では、血圧や中性脂肪・コレステロールの低下効果だけでなく、アトピーやアレルギー、がん(癌)や情緒安定への効果も認められてきています。
年をとったときに最もなりたくないと思われている病気の一つ、認知症。最近はアルツハイマー型認知症が増加しており、全認知症患者の8割近くを占めています。この病気の予防には、知的活動や運動も大切ですが、食生活も重要な要因。魚を1日に1回以上食べる人と比べると、全く魚を食べない人は5倍の確率でアルツハイマー性認知症を発症するという調査結果が出ました。
調理が大変だったら、刺身や缶詰を活用するなどの楽をしてでも、魚を食べるのはおすすめなんです。

特に積極的に摂取するとよい方
妊娠中の女性、成長途上のお子様、認知症が心配な人、生活習慣病が気になる人

EPA

生理作用
血栓予防、過剰な免疫反応や炎症の抑制、高血圧予防、身体持久力向上 など
欠乏症
欠乏症と定められた症状はまだないようですが、子供から大人まで全ての年代の人が摂取することが望ましいとされています。
過剰症
血液が凝固しにくくなる、出血が止まりにくくなる
多く含む魚介類
マイワシ、クロマグロ脂身、サバ、真鯛、ブリ、さんま、さけ、あじ など

イヌイットに冠状動脈疾患(心臓病)が少ないことから、1960年代にグリーンランドの村でイヌイットの食事と血栓性疾患や血液の成分との関係を調査が行われ、これがきっかけとなってEPAが注目されるようになりました。

EPAには赤血球の膜を柔軟にする性質があり、毛細血管のような狭いところへも血液がスムーズに流れるようにします。さらに、EPAには血管を柔らかくしなやかにする作用もあって、血管年齢を若く保つ効果があることも分かってきました。

加齢に伴い血管が老化すると、動脈硬化や血栓の形成などで心臓病や脳梗塞などのリスクが高まりますが、EPAを摂取することでこれらの病気のリスクを低減させることができると考えられています。

またEPAは、運動する人にとってもプラスの効果があると期待されています。 EPAをトレーニング中に摂取すると、血液サラサラ効果で細胞への酸素供給能力が高まり、持久力の向上につながるとのこと。また、運動時に踵が着地する際の赤血球破壊が減り、スポーツ貧血の予防となる効果が期待されています。

厚生労働省では1日1g以上の摂取を推奨しています。
いっぺんにたくさん摂取するのではなく、1日1gを目標にコツコツ摂取するのがおすすめです。

特に積極的に摂取するとよい方
生活習慣病が気になる人、動脈硬化や血栓が気になる人

タウリン

生理作用
胆汁酸排泄促進作用による肝機能改善、心筋機能亢進によるうっ血性心不全改善作用、浸透圧の調節、交感神経の働きを抑えて血圧上昇を防ぐ、筋肉運動の手助け、疲労回復 ・網膜の働きを手助け、抗炎症作用(白血球がタウリンを多く含む) など
欠乏症
高血圧や、肝臓・心臓の機能低下 など
過剰症
これまでに報告された例はないようです(2015年6月時点)
多く含む魚介類
さざえ、かき、ほたてといった貝類は特に高濃度(100gあたり1000mg以上)、タコやイカなどの軟体類、エビやカニなどの甲殻類も比較的多い(100gあたり300〜900mg)魚肉であれば血合の部分 など

「リ●ビタンD」等のドリンク剤に含まれることでもよく知られるタウリン。
動物性の食品を中心に広く分布していて、特に一部の魚介類に多く含まれています。野菜などの植物性食品にはほとんど含まれていません。
ヒトは、ある程度はタウリンを合成することができますが、食品から摂ることも重要です。

タウリンを食べることによる健康増進や病気の予防については、様々な事項がこれまでに挙げられていますが、一部を除いては十分な科学的データはないものともされており、全てを鵜呑みにはしない方がよいでしょう。

タウリンは、摂りすぎたとしても健康への害はないとされていますが、一度にたくさん摂っても体内で利用される量は限られているので、摂れば摂っただけ効果があるというものではありません。

一日三食、それなりにバランスの良い食生活であれば、タウリンが不足することはないとされています。しかし、不規則で偏った食生活が長期間続いてタウリンが不足する状態になると、タウリン不足による高血圧や、肝臓・心臓の機能低下などが起こる可能性もあるので、魚介類も含めたバランスの良い食生活を心がけましょう。

特に積極的に摂取するとよい方
新生児、血圧が気になる方、心臓や筋肉の衰えが気になる方

参考資料

  • 薩秀夫「アミノ酸の機能性とその新展開3 タウリンの多彩な生理作用と動態」(『化学と生物』Vol.45 (2007)No.4)
  • 和田政裕・真野博・清水純「知りたかった食品成分の機能とエビデンス 第2回タウリン」(『食生活』2007年5月)
  • 坂中亜衣・古谷純也・川崎英二「イラストで学ぶ 機能性なるほど講座 第7回タウリン」(『Nutrition Care』2013年1月、第6巻第1号)

アスタキサンチン

生理作用
抗酸化作用、免疫力の強化、糖尿病・脂質異常症の予防 など
欠乏症
カロテノイドの欠乏症は確認されていないようです。(アスタキサンチンは、カロテノイドの一種。)
過剰症
副作用がほとんどない安全性の高い成分とされており、摂取量の上限は決められていません。
多く含む魚介類
鮭、いくら、えび、かに、おきあみ など

「アスタキサンチン」は、鮭、いくら、えび、かになどの赤い色をした魚介類が豊富に含む色素成分です。

藻類が作り出すアスタキサンチンをおきあみ等が食べ、そのおきあみを鮭やえび等が食べてアスタキサンチンを蓄えて身や殻を赤くしていきます。

カロテノイドの中では、β-カロテンよりも強い抗酸化力があり、またβ-カロテンよりも栄養の届きにくい細部に入り込めるため、眼精疲労の改善や、美肌・美白、筋肉疲労を軽減する効果が期待されている他、ガンをはじめいろいろな病気に対する予防効果があると報告されるなどして、注目されている成分です。

特に積極的に摂取するとよい方
老化が気になる方、生活習慣病が気になる方

参考資料

  • 坂中亜衣・川崎英二「イラストで学ぶ 機能性なるほど講座 第26回 β-カロテン、アスタキサンチン」(『Nutrition Care』2014年8月、第7巻第8号)
  • 中村光康「アスタキサンチンの機能・効果」(『アンチ・エイジング医学ー日本抗加齢医学会雑誌』2014年8月、第10巻第4号)
  • ニッスイ おいしさを科学する 色(http://www.nissui.co.jp/academy/taste/11/taste_vol11.pdf)
  • 富士フイルム ヘルスケア未来研究所 アスタキサンチン(http://info.fujifilm.co.jp/healthcare/astaxanthin/index.html)
  • わかさの秘密 アスタキサンチン(http://www.wakasanohimitsu.jp/seibun/asta-xanthine/)

イミダゾールジペプチド

生理作用
抗疲労、疲労回復、活性酸素抑制・抗酸化・抗老化、持久力・運動能力向上、痛風等生活習慣病予防 など
欠乏症
イミダゾールジペプチドの欠乏症は確認されていないようですが、慢性化した疲労を放っておくと、全身の倦怠感・慢性的な頭痛、肩こり・冷え・生理不順などの身体的な不具合に発展したり、集中力や思考力、判断力の低下、意欲や気力の低下、些細なことにもイライラするなどの精神的な不調につながることがあります。
多く含む魚介類
まぐろ・かつお等の赤身、かじき類 など

抗疲労成分としての効果が科学的に証明されている、イミダゾールジペプチド。複数の抗酸化物質の抗疲労効果を人で実験したところ、コエンザイムQ10やリンゴポリフェノール等他の抗酸化物質をおさえて顕著に抗疲労効果が示されたという抜群の抗疲労力で注目されています。

渡り鳥や、カジキやカツオ、マグロ等、長時間に渡って運動を続ける生物の骨格筋中に多く含まれており、鶏のむね肉100g中におよそ200mg、めかじき100g中におよそ2000mgのイミダゾールジペプチドが含まれているといわれています。

ただし、鶏むね肉やかじきを食べたらすぐに疲れがとれるというものではなく、実験ではイミダゾールジペプチド200mg程度を目安に毎日摂取して2週間程度経った頃から効果があらわれたとのこと。また、イミダゾールジペプチドは調理時に肉汁と一緒に流出してしまうので、煮込み料理などで煮汁こと食べると、無駄にすることなく効率良く摂取できます。

特に積極的に摂取するとよい方
疲れがたまっている方、運動する方、生活習慣病が気になる方

参考資料

  • 「抗疲労、その研究と応用」(『FOOD STYLE 21』Vol.13 No.12 2009年)
  • 日本予防医薬の疲労を科学するコラム( http://imidapeptide.jp/index.html)
  • わかさの秘密 イミダゾールジペプチド(http://www.wakasanohimitsu.jp/seibun/imidazole-dipeptide/)
  • 独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター「鶏肉のイミダゾールジペプチドの脳老化改善効果を発見」-鶏肉摂取を介した認知症予防の取組に道を拓く- (http://www.ncnp.go.jp/news/news_141218.html)

魚の加工食品を食べるときの注意点

健康増進、健康長寿のためにも、魚や魚の加工食品をぜひ積極的に食べていただきたいのですが、状況によって気をつけなければならない場合があります。

塩分と血圧の関係

日本では以前から高血圧と脳血管疾患が多く見られ、伝統的な食生活における食塩の過剰摂取が大きく影響していると考えられています。
2012年時点での日本の成人1日あたりの食塩平均摂取量は、男性で11.3グラム、女性で9.6グラム。
世界保健機関(WHO)は2013年、世界中の人の食塩摂取目標を1日5グラムに設定しました。
米国の心血管疾患予防のガイドラインでは、塩分の最大摂取量は1日3.8~6.0グラム(2014年10月時点)。
日本人の塩分摂取がいかに多量であるかが分かります。

米国では、食事中の食塩の75%以上がファストフードを含む外食と加工食品に由来しています。日本人における塩分摂取の状況も米国とそう大きくは異ならないであろうと考えられ、新鮮でバランスのよい素材を選びなるべく塩分を使わずに自分で調理することが、減塩への早道です。しかし、加工食品を全く摂らないのも現実的ではありません。加工食品の含む塩分を知った上で、それらを上手に利用すると良いでしょう。

調理方法で工夫しつつ、カリウムを多く含む食材(野菜や海藻、イモ類、リンゴ・バナナ等の果物)適量を食事に取り入れるのがおすすめです。

【ナトリウム排出作用のあるカリウムについて】
eヘルスネット(厚生労働省)「カリウム」
みんなの食育(農林水産省)「塩分の摂り過ぎに注意」

下表に、魚の主な加工食品中の食塩含有量をまとめました。
※文部科学省「5訂食品成分表」「日本食品標準成分表2010」より作成
※加工の方法やメーカーによって塩分量は異なります。
※食塩摂取の調整の際参考となるよう、若干ですが魚以外の食品も掲載しました。

加工食品 塩分量(約)
塩鮭 1切(80g) 4.6g
たらこ 一腹(50g) 2.3g
焼きちくわ 1本(100g) 2.4g
いか塩辛 大さじ一杯(20g) 2g
はんぺん 1枚(100g) 1.5g
しらす(半乾燥) 大さじ山盛り一杯(10g ) 0.6g
魚肉ソーセージ 1本(65g) 1.4g
ロースハム 厚め1枚(100g) 2.5g
ショルダーベーコン 厚め1枚(100g) 2.4g

脂質について

3大栄養素の1つ、私たちの身体に不可欠な「脂質(脂肪)」。
魚の脂質は頭に良い、身体に良い、等のことを耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。
このページでも、「心筋梗塞」や「脳卒中」など生活習慣病のところに記したように、魚の脂質は生活習慣病等私たちの健康と深く関わっています。
では魚の脂質は、牛や豚などの脂質とどのように違うのでしょうか。
脂質の働きや各脂肪酸の役割・特徴についてまとめました。

脂質とは

脂質は細胞膜や核酸、神経組織などの構成成分として不可欠な成分であり、また、1g当たり9kcalという高いエネルギーを生み出すため、身体活動のエネルギー源として大切な栄養素です。
一方で、身体に悪影響を及ぼす動物性等の脂質の摂り過ぎによる肥満や脂質異常症、動脈硬化などの生活習慣病およびその予備軍は増加しているため、摂取する脂質の種類・質を考える必要があると言われています。

脂質の種類

脂質は以下の4つに分けられます。

  • 脂肪酸
  • 中性脂肪
  • コレステロール
  • リン脂質

脂肪酸について

脂肪酸は、炭素・水素・酸素によって構成されており、それらの結合のし方によって、

  • 飽和脂肪酸
  • 不飽和脂肪酸

の2つに分類されます。

飽和脂肪酸は、豚や牛などの動物性脂肪や、やし油などに多く含まれます。 生理作用としては、中性脂肪やLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増加させる働きがあります。LDLコレステロールは、動脈硬化を促進させ心臓病や脳卒中などの原因となるので、「悪玉」と呼ばれます。

一方、魚に含まれる脂質は、不飽和脂肪酸の中でも「多価不飽和脂肪酸」と呼ばれるもので、よく知られている「DHA」や「EPA」は多価不飽和脂肪酸の「n-3系脂肪酸」に分類されます。 生理作用としては、中性脂肪を低下させ、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を増加させる働きがあります。HDLコレステロールは、血管内にこぼれ落ちているLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を回収し、動脈硬化を抑制します。

脂肪酸一覧

種類 代表的な脂肪酸 生理作用 多く含まれる食品
飽和脂肪酸 パルチミン酸 ・中性脂肪やLDL(悪玉)コレステロールを増加 やし油、バター、豚や牛の脂身など
不飽和脂肪酸 単価脂肪酸 オレイン酸 ・HDL(善玉)コレステロールを下げずに総コレステロールを低下 サフラワー油、オリーブ油、菜種油(キャノーラ油)など
多価脂肪酸 n-6系脂肪酸 リノール酸 ・LDL(悪玉)コレステロールを低下
・過剰摂取によりHDL(善玉)コレステロールを低下
ひまわり油、綿実油、大豆油、コーン油、ごま油、くるみなど
γ-リノレン酸
アラキドン酸
n-3系脂肪酸 α-リノレン酸 ・中性脂肪を低下させ、HDL(善玉)コレステロールを増加 しそ油、えごま油など
DHA
(ドコサヘキサエン酸)
魚(まぐろ、いわし、さば、さんま、あじ、ぶり、うなぎなど)
EPA
(エイコサペンタエン酸)

魚の「旬」

食材には旬があります。
魚も同様で、季節毎に旬を迎える魚があり、やはりそれぞれの季節に旬を迎える食材と組み合わせたり、その季節に相応しい方法で調理したりして、よりおいしくいただくことができます(養殖の場合は人為的に食べ時を調整します)。また縦に長い日本では地域によっても旬の時期が異なり、その土地で旬を迎えた魚介類をその土地の調理法でいただくのは、旅の大きな楽しみでもあります。

では、旬の魚を食べる利点は何でしょうか。
食べどきを迎えた旬の魚は、そうでないときと比べて香りやうまみが豊富なので、味が濃く感じられます。調味料を最低限にして素材そのものを味わうのに最も適していると言えるでしょう。

さらに旬の時期の魚はそうでない時期と比べると、栄養価も高くなっています。例えば秋に旬を迎えるサンマ。9〜10月頃になると脂質たっぷりのサンマが店頭に並びます。この脂質には身体に嬉しいDHAやEPAがたっぷり含まれていて、しかもとびきりおいしいですよね。牛や豚の脂は食べ過ぎ注意ですが、旬の魚は積極的にいただきたいものです。

たくさん獲れる「漁獲どき」を旬と言うこともあり、この時期の魚はよりお手頃な価格で、新鮮なものをたくさん手に入れやすくなります。食べどきとは時期が異なることもあります。

現在は、多くの食材が季節に関係なく一年中出回っていて旬を忘れがちですが、旬の魚を食卓に取り入れて季節を感じませんか?

魚の「旬」カレンダー

※旬の時期は地域によってずれることがあります。例えばカツオやトビウオは地域によって大きく異なります。下記の表ではそのような場合、関東地方における旬を示しています。
※魚は50音順です。

  1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
アイナメ   2 3 4 5 6 7 8        
アカカレイ(赤鰈) 1 2                 11 12
アジ(鯵)       4 5 6 7 8 9 10 11  
アナゴ(穴子)         5 6 7 8        
アマダイ(甘鯛) 1 2 3             10 11 12
アユ(鮎)           6 7 8       12
アンコウ(鮟鱇) 1 2 3             10 11 12
イワシ(鰯)           6 7 8 9 10    
エイ(鱝・鱏・海鷂魚)           6 7 8 9 10    
カサゴ(笠子) 1 2 3 4             11 12
カジカ(鰍)                 9 10 11 12
カジキ(梶木) 1 2               10 11 12
カツオ(鰹)         5 6 7 8 9      
カマス(梭魚) 1 2 3 4 5       9 10 11 12
カレイ(鰈)       4 5 6 7 8 9 10 11 12
カワハギ(皮剝) 1 2               10 11 12
カンパチ(間八)           6 7 8 9      
キス(鱚)         5 6 7 8        
キンキ(金魚) 1 2               10 11 12
キンメダイ(金目鯛) 1 2 3 4 5 6         11 12
グチ(愚痴)       4 5 6 7 8        
コイ(鯉) 1 2 3 4 5   7 8 9 10 11 12
サクラエビ(桜海老)                     11 12
サケ(鮭)               8 9 10 11 12
サバ(鯖)                 9 10 11 12
サメ(鮫) 1 2               10 11 12
サヨリ(針魚) 1 2 3 4 5           11 12
サワラ(鰆) 1 2 3 4           10 11 12
サンマ(秋刀魚)               8 9 10 11 12
シシャモ(柳葉魚)               8 9 10 11 12
シタビラメ(舌平目)         5 6 7 8 9      
シマアジ       4 5 6 7 8 9      
スズキ(鱸)         5 6 7 8 9      
タイ(鯛) 1 2 3 4 5         10 11 12
タチウオ(太刀魚)             7 8 9 10 11  
タラ(鱈) 1 2               10 11 12
トビウオ(飛魚)     3 4 5              
トラフグ(虎河豚)                     11 12
ナマズ(鯰) 1 2 3 4 5 6   8 9 10 11 12
ニシン(鰊) 1 2 3             10 11 12
ノドグロ(喉黒) 1 2 3           9 10 11 12
ハゼ(沙魚)                 9 10 11 12
ハタ(羽太) 1 2 3               11 12
ハタハタ(鰰) 1 2 3             10 11 12
ハモ(鱧)         5 6 7 8 9      
ヒラメ(鮃) 1 2             9 10 11 12
フグ(河豚) 1 2                   12
ブリ(鰤) 1 2 3             10 11 12
ホッケ(𩸽)             7 8 9 10 11 12
ボラ(鯔) 1                 10 11 12
マダイ(真鯛)                     11 12
ムツ(鯥) 1 2 3 4           10 11 12
メジナ(眼仁奈) 1 2 3 4             11 12
ワカサギ(公魚) 1 2 3               11 12

※旬の時期は地域によってずれることがあります。


参考資料

  • 水産庁『水産白書』2004年〜2014年
  • 独立行政法人水産総合研究センター中央水産研究所 利用加工部 機能評価研究室「日本型食生活,魚食が動脈硬化症を予防するメカニズムの解明」2004年
  • 農林水産省消費・安全局 衛生管理課 魚類安全室「魚食と健康について」(農林水産省・平成16年「魚食に関する意見交換会」における配布資料)
  • 農林水産省「魚介類の栄養・機能性」
  • 農林水産省 知っておくと便利です。食品に含まれる成分
  • 文部科学省 日本食品標準成分表2010
  • 文部科学省 五訂増補日本食品標準成分表
  • 厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2010年度版)
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット(メタボリック症候群が気になる方のための健康情報サイト)
  • 国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス
  • 藤原昌高『からだにおいしい魚の便利帳』(高橋書店、2013年)
  • 鈴木たね子『なぜ、魚は健康にいいと言われるのか?』(成山堂書店、2013年)
  • 千葉県「千葉のさかな」
  • 東京魚商業協同組合「築地発 おいしいお魚ガイド 旬の魚」
  • 水産物市場改善協会「おさかなQ&A 魚の旬」

  • *1 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究グループ「多目的コホート研究 魚・n-3脂肪酸摂取と虚血性心疾患発症との関連について」
  • *2 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究グループ「魚介類摂取と糖尿病との関連について」
  • *3 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究グループ「魚、n-3不飽和脂肪酸摂取量と肝がんとの関連について」
  • *4 国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報サービス「最新がん統計」
  • *5 国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報サービス「肝細胞がん」
  • *6 中央水産研究所 利用加工部 木村郁夫「やっぱり、さかなは健康食だ!-新たな健康機能とは-」
  • *7 NIPPON DATA80 Research Group「Long-chain n-3 polyunsaturated fatty acids intake and cardiovascular disease mortality risk in Japanese: A 24-year follow-up of NIPPON DATA80」(『Atherosclerosis』Volume 232, Issue 2, 2014年2月)
    滋賀医科大学 プレスリリース-情報公開「魚介類由来の脂肪酸摂取が多い人では循環器疾患死亡リスクが低下」
  • *8 河田照雄「肥満と脂肪・エネルギー代謝に関する食品機能学的研究」(『日本栄養・食糧学会誌』第67巻第3号、119‒125、2014年)
  • *9 M. Sotos Prieto 他「Consumo de carne y pescado en población mediterránea española de edad avanzada y alto riesgo cardiovascular」(『Nutrición Hospitalaria』vol.26 no.5、2011年11月)

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